[実在しない彫刻]
The Non-existent Sculpture |
2023.1.27|金| - 2023.3.12|日| |
会場: VR HMD&Windows PC (データをPCでダウン ロードし、VRで体験) |
アーティスト: HONORAT Luigi 伊阪柊 ISAKA Shu 舒達 SHU Da 鷲見友佑 WASHIMI Yusuke キュレーター: 李静文 LI Jingwen キュレーションサポート: 林子夏 LIN Zixia 主催: Upload AIR 助成: 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシ ル東京【芸術文化魅力創出助成】 |

STATEMENT
1979年、ロザリンド・クラウスは「展開された場における彫刻」を提示した。彫刻は表現の場を変えることによって、彫刻空間の変化を表すだけでなく、彫刻が特定のメディウムを超越し、複数の形態を総合したもとでの顕現となることを可能にするのである。だが現在に至って、メディウムの固有意味または社会意義は彫刻に影響しつつ、食い尽くすこともある。その前、ハイデガーは「芸術と空間」を発表し、"彫刻としての芸術、空間のいかなる占有ではない "と言及し、それは「様々な立場の体現」である。彫刻によって表現された空間の空虚さ(Leere)が無から生産/生成を表し、彫刻は空間的な位置を模索し、計画しながら布置する(suchend-entwerfendes Stiften von Orten)こととなる。しかし、リアル世界では最小単位でも位置の集合となり、空虚がもたらす存在は仮説でしかない。独立の座標が使えるデジタル空間だからこそ、位置の集まりの曖昧さを回避し、彫刻が占拠しない空虚が空間及び彫刻の一部として存在する可能性を見直せる。本展は、デジタルフィールドへの展開によって彫刻メディウムがもたらす固有意味の移行と、彫刻が提示するデジタル空間の在り方に注目する。本展は彫刻的制作・思考背景をもつ4名のアーティストを招き、制作時・展示中に受ける物理的・自然的制限がなく、素材・空間が全て0から始まり、VRで彫刻の試みを提示する。本展の構造は、台座をモチーフに彫刻の刷新を記念するモニュメントをメイン会場として制作し、オープニングとエンディングスペースはモニュメントによって完結する。会場内、鑑賞者はアバターを持たず、実在しない客体として案内通りに次々と展示空間を鑑賞する。展示空間と並列する廊下空間では、古代墓室が壁画で霊体活動を示すように実体のない鑑賞者に展示空間を案内する。
本展では、作品・鑑賞者を含めた不在である存在が彫刻空間の空虚を提供し、空虚の生まれる空間が彫刻の一部として提示する。ヴァーチャル空間における彫刻概念に問いかけ、素材・方法・フォルムなど伝統的なアート概念イメージの間に潜む彫刻の可能性を引き出す。
2023.1
李静文
東京
李静文
東京